政府は、スマートフォンに搭載できるマイナンバーカードの機能の拡充やマイナンバーカードの券面の記載を変更するため、マイナンバー法など5つの法律の一部を改正する法案を束ね法案として閣議決定しました。
束ね法案とは複数の法案をまとめて審議するためまとめられた法案ないしその審議方式を言います。
手続きが1つである点で一括審議と共通しますが、法案が個別に採決されることがない点で、一括審議と異なります。
メリットとしては、審議の効率を高め、法案をスムーズに成立させられる可能性が出てきます。
デメリットとしては、個別の法案に対する慎重な審議の機会を奪う可能性があります。
通常、法案は官僚つまり行政側が作成しているので、法案成立までのお膳立てを行政側がしてしまって、立法機関つまり国会が、それを飲むか飲まないかという構図になってしまうので権力バランス上も問題が出てきます。
しかし、法律によって、特に税法などでは、この方式でないと時間ばかりかかってしまうものもあるので一概に全て悪いというものでもありません。
要は法案の内容と運用の仕方次第ということになります。
今回の改正案の内容についてですが、成立すれば、まずマイナンバーカードの券面の記載から性別が消えることになります。
女性の名前のような男性や、男性の名前のような女性の場合、本人確認のためにも残した方がいいような気もしますが、トランスジェンダーの人の場合、せっかく容姿を内面に近づけても、改めて本人の内心と異なる性別を確認させられることになってしまうので、近年の流れからすればやむを得ないかと思います。
もう1つは、マイナンバーカード機能をスマートフォンに搭載し、オンラインで電子証明書を利用できるようにして、スマホだけで本人確認が完結するようになります。
具体的には証券口座がスマホだけで開設できるようになります。
ここでも、高齢化により社会保障は限界に来ているので、老後のお金の問題は、資産運用で個々人が何とかしてねという政府の思惑が見え隠れしています。
ただ、他にも現在マイナンバーカードで交付されているコンビニでの証明書類がスマホでも取得できるようになるため便利にはなりそうです。
その反面、フィッシングなどで暗証番号が取得されれば、スマホがあれば証明書類が交付されてしまうので、セキュリティや情報管理がより重要になってきます。