自由民主党の副総裁、麻生太郎氏による、同じ自民党の上川陽子外務大臣に対する発言の内容が問題になっています。

総理経験者でもある政治家ですので、公人として問題が大きく取り上げられるのはわかります。

外見で人を評価するルッキズムに基づく差別的発言、あるいは侮辱的発言であるとするものや、女性蔑視という評価もあります。

確かに、公人であることからすれば、問題視され、謝罪しなければならない問題なのだと思います。

ただ、麻生氏のこれまでの言動を振り返ると、問題発言が多い政治家ということも言えますが、人を褒めるタイプの人であるという印象を持ちます。

これまでの言動からすれば、今回の発言についても、上川さんの容姿を揶揄するというよりは、むしろ能力を評価する文脈で発言されたものです。

人を褒めるタイプの人ですので、能力の高い女性をそのまま褒めると、下心でもあるのかと疑われかねないし、同じ自民党の身内の人間であるということもあるかもしれません。

その辺の照れ隠しが、言わなくてもいい表現で現れてしまっているというのが実際のところのような気がします。

これを政治家の失言と捉えて、ルッキズムや女性蔑視の問題として議論するきっかけにするのは悪いことだとは思いません。

しかし、年老いた政治家の、古臭い感覚が現れた発言とだけ見てしまうと、事の本質を見誤る可能性があると思います。

むしろ若くても、麻生氏を叩いている側の人間の、人の落ち度を見つけると、SNSなど自分は安全な場所に身をおきながら、徹底的に人を叩かなければ気がすまない現状の方が、問題は大きいような気がします。