小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」を飲んでいた人が、腎臓に障害が出て、死亡にもつながっているのではないかという疑惑が出ています。

原因物質として、青カビがつくるプベルル酸という物質が原因ではないかという疑いが出ています。

そして、このプベルル酸が腎臓にどのような影響があるかは、よくわかっていません。

毒性が高いことはわかっているのですが、腎臓にどのような影響があるかはわかっていないのです。

単体としての元素なら、化学的な性質などある程度わかっている部分も多いはずです。

ところが、青カビがつくる化合物となると、わざわざどのような性質であるのか研究するきっかけがあまりないのです。

紅麹にカビが生えたのとかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、麹とカビは見た目では区別がつかないくらい近い仲間です。

ここで、小林製薬を弁護するわけではないのですが、青カビ自体は感染したりしない非病原性の菌です。

カビ毒も必ず産生されるわけではありません。

大量生産する中で、何か毒性のあるカビの代謝物が産生されてしまったのではないかと思います。

青カビであれば、そのような人体に危険な物質を含んでいる可能性があるということで食べるのを避けます。

つまり、青カビ=食べられないという判断が働くので、青カビがつくる化合物についても、食べることを避け、積極的に摂取するということがないので、どのような影響があるのかということに関心を持つことがなかったのです。

食わず嫌いの逆で、嫌っているから食べず、普通食べないから危険性についても知る必要がなかったのです。

ところが今回は、食わないから、知らず、知らないから食べてしまったという状況です。

かろうじて、毒性の強さからマラリアなどの薬に使えるのではないかという研究はあるようです。

現時点で1つ重要なことはプベルル酸の影響がわかっていない以上、今回の腎機能への影響の原因が、プベルル酸かどうかもわからないということです。

薬であれば、お薬手帳などで医師が把握できます。

しかし、サプリメントや健康食品は、商品名が会話に出たとしても、なかなか成分まではわかりません。

そこで、せっかく薬で治療していても悪影響が出てしまう可能性もあるのです。

素人考えの怖さと、健康への影響のトータルな把握の必要性を再認識させられます。