国は、一部の先発薬の窓口負担を、この秋にも引き上げることを決めました。

効果は同じだとされるが価格が安いジェネリック薬(後発薬)が出てから5年以上経っているものや、ジェネリック薬に50%以上置き換わっているものが対象です。

ジェネリック薬の利用を促進するのが狙いです。

高齢者社会を迎え、医療費特に薬への国の保険負担が増えるため、より価格の安い薬を利用する人を増やす必要があるのです。

しかし、この問題は、現在の薬不足の問題ともつながっています。

現在ジェネリック薬などの確保が難しくなっていますが、低価格で提供するジェネリック薬について、基準どおりの製造工程を守って、薬を製造することが難しくなっているのです。

そのため一部のメーカーの一部の薬で、回収騒ぎが起こっていて、薬の確保が難しくなっているのです。

これは慢性的な製薬業界の構造的な問題があることに加え、このような薬事行政とも密接に関連しています。

工程を守って安全な薬を製造するのに、一定のコストがかかるのは当たり前なのです。

安全な薬が供給できるという前提のうえに、保険料の負担をいかに軽減するかという問題が来るはずなのです。

今回の負担の見直しについては、治療に必要だと医師が判断した患者やジェネリック薬の在庫がない場合などは引き上げの対象外となりますが、この歯止めも一歩間違えば不正の温床となりえます。

先発薬の負担増が、安全なジェネリック薬の安定供給に繋がらない場合、使える薬の格差が、そのまま格差社会へとつながっていきます。