日産自動車は、下請け企業に不当な減額要求をしていたことを認め、社長が謝罪していました。

日産自動車の下請け企業が多い島根県の丸山知事も激怒し、問題が大きくなっていました。

しかし、その後も不当な買いたたきが続いていると下請け企業からの告発もあり、日産自動車は更に調査を進め、結果を公表することになっています。

事は1社だけの問題ではなく、このようなことが行われれば賃上げどころではなくなるため、発注元以外の企業の賃上げを抑制し、消費の冷え込みにつながってしまいます。

製品の価格が安くなれば売れやすくはなるため、一人勝ちは許せないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、競合企業がある以上、このような方法でコストダウンしても、一人勝ちできるとは限らないのです。

それだけ厳しい競争状態にあるので、ますます「買いたたき」が横行してしまいます。

このようなことは、様々な業界で行われる可能性があるため、下請法により、不当な減額要求は禁じられています。

円安や物価高の中、商品やサービスの値段を下げろという要求だけでなく、現状維持させることも実質的な減額要求に等しい行為です。

公正取引委員会は、このような現状を踏まえ、「買いたたき」の運用基準を明確化しました。

運用基準が改正され「買いたたき」の定義が変更されたことになります。

これまで、買いたたきとは「著しく低い下請け代金の額を不当に定めること」と解されていました。

変更後は、これに加え、著しいコスト上昇が、公表された資料で把握できるのに、下請け代金を据え置いた場合も買いたたきにあたることになります。

これは今回の日産自動車の件だけにあてはまるわけではありませんし、日産自動車の問題のために改正されたわけでもありません。

ただ、物価が上昇している経済状況の中、買いたたきの要件を明確化する必要性が出てきているところへ、日産自動車の問題が起きたことが、引き金にはなっていると思います。