難民認定絡みで典型的なケースにあてはまらない裁判があったので書きたいと思います。

難民認定される典型ケースとして、本国で迫害されるなどの事情がある場合が挙げられます。

迫害する主体は、通常本国の政府です。

軍事政権や独裁政権などで、民主的な考え方の持ち主は、時の政権から迫害を受けることがあります。

そのため海外に脱出し難民認定の申請をするのです。

今回裁判の原告は、家族からの迫害を理由としていました。

どういうことかというと、この男性は北アフリカ出身の同性愛者で、2018年の暮に同性愛者であることを家族に知られてしまったのです。

父親や弟から暴行を受けたうえ、自宅の物置に10日間監禁されていました。

そこを逃げ出したところ、逃亡先で家族に車で轢かれそうになり警察沙汰になりました。

警察で事情を話したところ、警察官から「刑務所に入れる」と脅されたのだそうです。

男性は北アフリカのイスラム教国出身です。

イスラム法では同性愛者同士の性行為は処罰されますので、処罰されるようなことをする同性愛者は家族からも迫害を受けることがあるのです。

そこで、交際相手とともに日本に出国し、2020年1月に大阪で難民認定の申請をしましたが、「不認定」となり、不認定に対する不服申立ても認められませんでした。

そこで大阪地方裁判所に、難民としての認定を求めて訴えを提起していました。

大阪地方裁判所は、判決で、家族から危害を受ける現実的な恐れがあり、国の保護も求められないとして難民の不認定処分を取り消しました。

日本での難民認定の申請では、それほど多くないケースですが、イスラム教国ではありがちなことです。