ドイツのヴュルツブルク大学、スイスのローザンヌ大学、沖縄科学技術大学院大学のOIST(生物多様性・複雑性研究ユニット)の研究チームが、アリが傷の種類によって治療法を選択していることを発見しました。

もちろん、すべてのアリではなく、フロリダオオアリというアリです。

これまでも、他の種類のアリであるマタベレアリというアリが、特殊な分泌腺から出る抗菌作用のある粘液を仲間の傷口に塗って治療することが知られていました。

フロリダオオアリの場合、傷の種類によって、口器にって洗浄する場合もあれば、場合によっては仲間のアリが脚を噛み切り、切断する場合もあります。

傷の部位によって、治療法を使い分けていることがわかりました。

付け根にあたる基節から関節のような転節を介して伸びた腿節(たいせつ)の傷と足首にあたる脛節(けいせつ)の傷で治療法を使い分けているのです。

腿節の傷では、すべてのケースで、仲間が傷口を洗浄した後、脚を完全に噛み切りました。

脛節の傷の場合は、仲間が口器による洗浄のみを行いました。

腿節の傷では、脚を切断していますが、生存率は90パーセントから95パーセントでした。

傷を放置した場合の生存率は40%未満でした。

脛節の傷では、脚を切断はしませが、生存率は75パーセントでした。

傷を放置した場合の生存率は、15%未満でした。

かなり的確に治療方法を使い分けていることになります。

ただし、ローザンヌ大学の進化生物学者Laurent Keller博士によれば、生まれつきの行動なのだそうです。

つまり考えて行っているわけではなく、学習によるものであるという証拠も見つかっていないそうです。

しかし、自然にそうなるはずもないので、過去の経験が種としてプログラムされているということなのではないかと思います。

アリって、たくさんいるので、その辺は単純な行動しかとらない生き物のように感じますが、種類によっては、これほど人間みたいな行動をとるんですね。

驚きです。