日本では、刑事事件に限らず三度、裁判所で審理を受けられるのが原則です。(三審制)

三度裁判を受けて出た判決や途中で上訴を断念した場合は、判決が確定します。

一度判決が確定すると原則的には争えなくなります。

しかし、一定の事由を備えた場合に再審が認められることがあります。

死刑判決が確定した元死刑囚について、再審請求中に、死刑の執行がなされ、弁護権を侵害されたとして、その元死刑囚の代理人を務めた弁護士が国家賠償を求めた裁判の証人尋問が大阪地方裁判所でありました。

証人として出廷したのは、青山学院大学の葛野尋之教授です。

葛野教授は、再審の目的は誤判の是正にあると証言しました。

そのうえで、再審請求中に死刑が執行されれば、弁護人は死刑囚との協議の場を失い、弁護活動に大きな困難が生じると説明しました。

原告側の代理人からの「再審請求を繰り返せば死刑を免れられるとの指摘があるが」という質問に対して、葛野教授は、再審で実際に無罪になったケースの多くが複数回再審請求していたことを挙げ、「同じ理由での請求でない限り、確実な誤判の是正のために受容されるべきだ」と回答しました。

刑事裁判では疑わしきは被告人の利益にという、いわゆる利益原則が適用されます。

そうであるなら、確定判決といえども判断に疑念があるのであれば、再審の扉を開くべきという判断はありうると思います。

更に死刑制度自体も、国際的には採用していない国もあるため、死刑制度自体が存在するにしても、再審の扉を開く仕組みを詳細に規定するというのも1つの方法だと思います。

確定判決が覆ってしまっては裁判に対する国民の信頼が揺らぐということも言えますが、裁判制度の問題点だけでなく、冤罪や、制度を運用する人の誤りや誤解などが生じうることを考えると、再審請求の手続自体を精緻化するという方法を探るというのが現実的なのかもしれません。