大阪大学の審良(あきら)教授らのグループが、免疫の司令塔となるT細胞で、リグネース1というRNAの分解酵素の働きを抑制すると、体の中のがん細胞を攻撃する作用が強まることを発見しました。

これまでも、リグネース1が、炎症性の疾患や、自己免疫病にかかわっていることが見つかっていました。

このあたりの研究は、特定の病気の研究からも、免疫などの研究からも、様々な大学やグループによって研究が進められています。

リーグネース1は、多ければよいというものでもないし、無くせば良いというものでもありません。

結局、免疫も、ウィルスや菌などの外敵の侵入に対しては機能しなければなりませんし、自己免疫疾患などの場合は、自分の体を攻撃する可能性も出てきてしまうので、ある程度抑制しなければならないので、正常に機能するということが重要で、時には抑制することで、病状の改善が期待できる場合もあるということになります。

その免疫が機能する場面にかかわるリグネース1も、あると良いとか悪いとかいうことではなく、どう機能させることが、その人の今の健康状態にとって良いのかが変わるということのようです。

この辺の研究は、体内での炎症ということにかかわっているようですので、そのメカニズムが解明されると、がんだけでなく、様々な病気の治療法の解明にも役立つのだと思います。

今回も、がんをやっつけるための1つの条件として、リグネース1の働きを抑制すると、体の中でがん細胞を攻撃する作用が強まるということが分かったということのようです。

繰り返しになりますが、働きを抑えると良い効果があると聞くと、それ自体が悪者で、無くせば良いと考えがちですが、リグネース1自体は、悪者でもなんでもなく、働きを抑制して、制御T細胞が機能するようになると、がんへの攻撃力が高まるということのようです。

血糖値も低すぎたら、上げた方が良いし、高すぎたら、下げなければならないみたいな話なのだと思います。

人体は精妙なので、「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」ということのようです。

専門的な医学知識がないと、理解が難しそうなので、深入りはせず、この辺の記述にとどめようと思います。