奈良県の平城宮跡の近くにある遺構から、大量に木簡が見つかっていました。

その中に、天皇が即位してから初めて行われる新嘗祭である大嘗祭に関する木簡があり、天皇と神が食事を共にする神事の時に使われる座布団や寝具を意味する「神御茵」(かみのおんしとね)と書かれたものがあったことがわかりました。

この神事では、神が座する隣に天皇が座り、新たな天皇が神の力を分け与えられることになります。

残っている文字の歴史資料よりも200年以上前に、大嘗祭の中心的な儀式が存在していたことになります。

新嘗祭は収穫に感謝し、豊作を祈る宮中の祭祀の一つです。

特に天皇が即位してから初めて行われる新嘗祭を大嘗祭といいます。

資料の少ない日本の昔の状況が、少しずつ出土物から明らかになってきています。

大嘗祭では、関東近郊などの遠方からも、荷物が運ばれてきていたことが荷札と思われる木簡から明らかになっています。

大嘗祭は、天武天皇の頃から続く儀式で、今回の出土品は、聖武天皇の時の大嘗祭で使われた物が出土しているのです。

儀式で使われた「播磨槲」(はりまのき)=柏(かしわ)の葉も出土しています。

柏の葉は編んで、供え物を入れる容器として使われいたようです。

儀式で使われた物は捨て場所まで決まっていたため、今回出土した物は、遺構に捨てられたものがまとまって出土したのではないかと見られています。

古い時代のことは、資料や、発掘物が乏しいのに、神事については、現在の天皇の先祖がかかわっていることが分かっているというのが日本の特殊なところです。

現在の儀式などから推測するほかありませんが、出土するものが増えるたびに少しずつ、いろいろなことがわかってきます。