ブログ記事のタイトルはハリー・ポッターの新作のタイトルではありません。

豊島園の跡地にできた練馬区にある「スタジオツアー東京メイキング・オブ・ハリー・ポッター」で販売されていたレプリカの剣についての記事です。

ハリー・ポッターの物語の中に出てきた「ゴドリック・グリフィンドールの剣」のレプリカとして販売されていたものです。

これについて、警視庁が銃刀法違反の可能性を指摘したのです。

お値段3万円(税込み)で、351本販売されています。

購入した人は、届け出た方が良いです。

おそらく真剣ではなく、模造(レプリカ)の剣なので問題ないだろうと考えて販売していたのではないでしょうか。

こういう問題を、剣も刀剣類にあたるだろうと、通常の日本語の意味だけで考えてはいけません。

法律には、趣旨つまりその法律を作った目的が存在します。

法律では、法律の趣旨の沿って言葉の意味内容を明らかにする「解釈」というものが必要になります。

銃刀法や銃砲刀剣類登録規則については、その趣旨について述べた関連判例があります。

俗にサーベル登録拒否事件と呼ばれる判例です。

銃刀法では許可や正当事由のない刀剣類の所持が禁止されていますが、銃砲刀剣類登録規則で美術品として価値のある刀剣類は登録すれば所持が認められています。

そこで所有者がサーベルを登録しようとしたところ、同規則にいう「刀剣類」は日本刀だけを意味するとして登録拒否されたのです。

それで訴訟になりました。

結局、最判平2.2.1では「刀剣類」を日本刀に限るのは妥当として上告は棄却されました。

銃刀法でいう刀であれば、治安維持の要素が強いので、外国刀でも対象になりそうです。

意外かもしれませんが、国内の治安維持というだけでなく、日本の場合、ポツダム宣言受諾による武装解除という意味合いもあったのです。

例外的な所持を認める銃砲刀剣類登録規則の方では、すでに伝わっている日本刀の伝承的な意味合いが強いため、日本刀に限る意味はあるのです。

新作についても日本文化の伝承的な意味合いが強いわけです。

日本刀については、既に存在するものの数が限られますし、製作中のものの数も管理されているわけです。

これが、外国から持ち込んで良いということになると、数に制限がなくなってしまうというのも理由の1つです。

これによれば、西洋の剣は登録できる刀剣類には該当しなさそうです。

銃刀法の刀には該当しそうですが、問題は模造刀(レプリカ)であることです。

しかし、銃刀法では模造刀でも鋭利であれば、危険であることに変わりなく、規制の対象となりますので、やはり警視庁の指摘どおり、銃刀法に違反する可能性が高いことになってしまいます。

ちなみに、銃刀法での所持禁止の例外にあたる「正当事由」に護身用であることは含まれないことに注意しましょう。