大分県大分市で2021年に起きた交通事故の裁判の判決が大分地方裁判所でありました。
被告人は、時速194キロのスピードで自動車を走行させ、対向車線から右折してきた車と衝突し、運転していた男性を死亡させました。
被害男性は、装着していたシートベルトがちぎれ、車外に投げ出されていました。
検察は、当初過失致死で起訴していましたが、遺族が署名活動を行った結果、危険運転致死罪に訴因変更されました。
今回判決では、危険運転致死罪にあたると認定され、懲役8年の実刑判決が言い渡されました。
ただ、時速194キロという法定速度の3倍を超えるスピードで自動車を運転して、事故の結果、人を死亡させて、当初の起訴理由が過失致死というのは疑問しかわきません。
被告人が速度を出した動機は「何キロまで出るか試したかった」です。
個人的には、速度超過で自動車を運転することが直ちに、殺人の故意があるとは思いませんが、時速194キロで、人が死亡することが無いと思う人がいたら、それは、その人の認識が誤っているのではないかと思います。
特定の人を殺す意思がなくても、時速194キロで自動車を走行させれば、人が死ぬことはあるだろうと考えるのが普通です。
だとすれば、時速194キロで事故を起こした被告人には、少なくとも、殺人について未必の故意があるといえるのではないでしょうか。
今回のケースで、検察実務上、殺人罪を適用するのは困難なのかもしれませんが、それにしても過失致死罪というのは無いかなと思います。
被害男性は、殺人事件の被害者よりも、ひどい亡くなり方をしたのではないかと思います。
遺族が、怒って署名活動をしたのも無理はありません。
事故から、4年以上、5年近くかかってやっと危険運転致死罪というのは、事故後の被害者遺族の裁判に要した時間や労力に加え、ここまでしなければ、まともな判決が得られないのかという失望感は察するに余りあります。