最近、大阪の西成区にある釜ヶ崎の記事を書いたので、関連記事を書きたいと思います。

今回、強制退去させられた人たちがいた「あいりん総合センター」周辺を含め、この地域で15年前まで医療支援をしていて亡くなった医師、矢島祥子(やじまさちこ)さんに、母校の群馬大医学部医学科の同窓会・刀城クラブが、「地域医療貢献賞」を贈りました。

矢島さんは、海外の難民キャンプで難民支援をする人々に刺激を受け、高校受験のころに医師を目指したといいます。

医師になってからは海外や国内の貧しい人々を支援する医療活動を続けていました。

もともと群馬県出身でしたが、「外国でなくても、日本のなかでやるべきことがある」というマザー・テレサの言葉に触発されて、釜ヶ崎で医療活動を行うために移住したといいます。

釜ヶ崎では、日常的な医療活動はもちろん、身寄りのない路上生活者を看取るという活動も続けていました。

その矢島さんが、15年前に木津川の渡船場で遺体で発見されました。

当初、警察は検視の結果、「過労による自殺」と判断しました。

ただ、検視結果と遺体の状況にはつじつまが合わない点もあることから、遺族から告訴状が提出され受理されていました。

再捜査が行われましたが、未だに解決には至っていません。

それなりに捜査が行われたのだと思いますが、矢島さんの件がそうとは言いませんが、少し前までは検視をする法医学者や監察医などは、報酬が得られる独立の職ではなく、善意で行われていた部分もあったようです。

現在は状況も多少改善されているようですが、法医学教室などにいる他に職のある医師が司法解剖にあたることが多く、死因がきちんと特定されずに済まされてきたケースもあったようです。

捜査資料を見ていないので、矢島さんの事件が、どこまできちんと、死因や死亡経緯が特定できているのかはよくはわかりませんが、初動時には、それなりに捜査が行われたようですが、事件性があるのか、事故や自殺なのか、手掛かりが得られなかったようです。

この件に関しては、再捜査後も事件性を決定づける証拠は出ていないようですので、警察にとっても事件を引きずる結果になっています。

大阪府警がとは言いませんが、このような事態を避けるため、自殺で一件落着にしようという発想が、全国の警察にあるとすれば、発想が逆なのだと思います。

未解決事件を増やしたくないという動機はわかりますが、事件すべてが警察の責任ではありませんので、未解決事件は未解決事件として検証を重ね、捜査方法を洗練させていく他ありません。

それには、あまりにも事件が多すぎるのかもしれませんが。