ローマ字表記のルールが70年ぶりに見直されようとしています。

文化庁がヘボン式を基本とする案を提案しているのです。

ヘボン式は、戦後GHQなどによって用いられたため、なじみのある人も多いと思います。

ローマ字といえばヘボン式のような気がするので、では、これまでは何だったのかと疑問がわきます。

日本でのローマ字表記はダブルスタンダードで来たというのが実情です。

「し」「ち」を「si」「ti」と表記する訓令式と呼ばれるつづり方で、小学校などでは指導されてきたのです。

訓令式と呼ばれるのは、1937年に内閣訓令で定められたので、このように呼ばれます。

実は、最近はワープロ式と呼ばれる、ワープロ(ワードプロセッサ)でローマ字入力する際に押すキーの表記を用いる方法も一般的になってきています。

つまりダブルスタンダードでもなく、実際にはトリプルスタンダードであるために混乱しているともいえるのです。

例えば、行政書士は、通常ローマ字では「Gyoseishoshi」とづづりますが、「Gyouseisyosi」と表記するのがワープロ式です。

弊所では、ウェブサイトなどでワープロ式で表記することがあります。

なぜかというと、外国人の方が発音したときに、こちらがわかるようにするためです。

発音なら英語に近いヘボン式の方が、よいのではと思うかもしれませんが、最近は長音記号を用いないことも多くあります。

そのため、外国人でも、原音に近い発音をする人と、だいぶ異なる発音になる人の両方がいるのです。

例えば、「江東区」をヘボン式で表記すると「KOTOKU」になります。

これを「コートーク」と発音する人もいれば、そのまま「コトク」と発音する人も出てくるのです。

ワープロ式だと、「KOUTOUKU」なので、発音はほぼ「コウトウク」になります。

外国人から見て発音がわかるということも重要ですが、日本人がその発音を聞いてわかるということも重要だと思うのです。