2024年度の私学助成金について、日本大学と東京女子医科大学に対して、助成金を全額不交付とする決定をしたことを私立学校振興・共済事業団が発表しました。
本来、憲法第89条で「公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業」に対しては、公金や公の財産を支出してはならないことになっています。
通常の言葉の意味からすれば、私立学校などの教育機関は「公の支配」には属さないことになりそうなので、税金の投入はできないということになり、私学への助成金の支出もできないはずです。
しかし、例外的に、私学については、就学上の支援や経営の健全性を高めるために、助成金を支出することは合憲とされています。
今回不交付が決定された大学は、不祥事があり経営上の健全性が確保されていないため、公的資金を助成することはできないということだと思います。
しかし、以前も少し書きましたが、学校に対する助成金の不交付は、最終的に在学中の学生の不利益につながってしまうと思います。
もともと教育機関とは異なる企業であっても、法人としての企業と経営者個人は別人格とされ、法人の債務について、経営者が保証などしていない限り、経営者が個人的に責任を負うことはありません。
それにもかかわらず、学校の不祥事に対し、全く責任のない個人である学生に不利益が及ぶというのは、理不尽な気がします。
経営している法人と経営者が別人格であるのはわかりますが、学生に不利益が及ぶぐらいなら、経営者側に個人的な不利益が及ぶ方が、責任の配分としては適切ではないかと思います。
経営の健全性が確保されていない団体に、助成金が交付されれば、国民からの批判が出てくるというのはわかります。
ただ、経営の健全性が確保できていないという点については、経営の健全性が確保されていないから、交付できないという考えも成り立てば、経営の健全性が確保できていないから、助成金により立て直すという考え方も成り立つと思うのです。
かといって使い道などを限定して助成金を交付しも、結局浮いた分は学校側の利益になってしまうので無条件に交付するというにも問題があります。
全額交付では国民が納得しないと思うので、せめて在学中の学生のライフラインにもなりそうな最低限の就学支援となる助成金の交付は行い、その分のペナルティー的な処分は、例えば学校側の法人としての利益に対する課税を強化するなど、学校側のみの不利益で済むような措置を考えるべきなのではないかと思います。