視力を失う原因には様々なものがあるようですが、そのうちの1つである網膜で光を感知する細胞が無くなり失明するという病気の人には、文字通り一筋の光となる治療法が、現在研究されています。

慶応大学などの研究チームによるものです。

ただし、失明している人のすべてに有効というわけではありません。

網膜色素変性症という難病で、光を感知する視細胞が無くなってしまうことにより失明する人がいます。

そのような人には朗報と言えそうです。

視細胞の代わりに、光に反応するタンパク質を持つ微生物のたんぱく質を改良し、双極細胞と呼ばれる細胞を遺伝子操作してキメラロドプシンという光を感知できるたんぱく質をつくれるようにするという治療法です。

言い換えると、視細胞以外の細胞に光センサーをつくらせる薬を開発しているのです。

キメラロドプシンについての研究成果は、名古屋工業大の神取秀樹教授や京都大学大学院理学研究科との共同研究によるものです。

これに、慶応大学の研究チームが着目し、今回の治療法の研究が進められています。

安全性の確認のために、少人数での臨床試験に入ります。

これがうまくいけば、多くの患者を対象とした臨床試験へと進んでいきます。

SFの世界のようにも感じますが、薬により光が戻ってくる人が出てくる可能性が現実に出てきています。

病気の原因や治療法が日進月歩で見つかっていますので、現在難病と診断されている人も、あきらめる必要はありません。