大阪高等裁判所で、同性婚をめぐる裁判の控訴審判決がありました。
第一審の大阪地方裁判所は、パートナーシップ制度などで差異は緩和できるとして合憲という判断をしていました。
大阪高等裁判所は、この判決を覆し、同性を愛する人に婚姻を認めない現行の制度を正当化する根拠は見出しにくいとして、違憲の判断をしました。
これで、札幌高等裁判所、東京高等裁判所、福岡高等裁判所、名古屋高等裁判所とこれまで5つの地方裁判所に提起されていた裁判において、高等裁判所レベルでは、すべて違憲判決がそろったことになります。
大阪高等裁判所では、パートナシップ制度については、新たな差別を生み出すおそれがあるとして、合憲とする根拠にはならないという判断をしています。
この手の判断をする場合、現行制度が初めから違憲であったと判断されることは稀で、時代の変化により同性婚を認めても良い的な判断となるのが通常かと思います。
今回の大阪高等裁判所では、婚姻という配偶者としての地位が得られる制度について、幸福追求のための重要な選択肢であると評価し、世論調査などで、同性婚に対する反対意見が一定数あることについても、法制化しない現行制度を肯定する理由にはならないという判断をしています。
両性の合意に基づく婚姻という制度や法の下の平等といった憲法の趣旨からすれば、同性婚は婚姻制度から排除されるものではなく、同性愛という変えることのできない性的指向を理由に排除されるのであれば、その不利益は著しく大きいことから違憲という判断をしたようです。
このように、時代が変化したからというより、人権にかかわる憲法問題なので、これまでの制度から離れて、婚姻制度を憲法価値に照らして、改めて考えているところが、本来の憲法判断に近いといえるのではないかと思います。
ただ、これまで同性婚が認められていなかったことや、宗教によっては同性愛自体を認めないものもありますので、そのような考え方も、考え方の古さや固定化した価値観という評価はあるにしても、子孫を残すという点からは無視できない意見だといえるのではないかと思います。
いずれにしても、子孫を残すか残さないかというリプロダクションの問題は、婚姻制度とは異なる問題として考えるという流れになっていきそうです。
まずは、同性婚についての最高裁判所の判断が待たれる状態になってきたということはいえそうです。