全国の暴力団に所属する構成員が、前年よりも減り、初めて1万人を切ったことが伝えられています。

これを捉えて、治安が良くなったなどと勘違いしてはいけません。

前年、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウとして摘発されたのが1万105人です。

犯行の指示役は1011人で、この中には元暴力団関係者なども含まれているので、暴力団構成員が減った半面、トクリュウに流れていると表現することもできなくはありません。

ただ、実際には一部で、実行役は9094人いますので、そちらには、これまで犯罪とは無縁だったような人も含まれます。

つまり、暴力団員が減った半面、いわゆるカタギと言われた人間が犯罪者になっているということになります。

人的な組織関係やお金の流れなどが分かりにくくなっていることを考えると、ちっとも治安は良くなっているとはいえなさそうです。

中には、犯罪とは知らずに巻き込まれてしまう人もいますが、闇バイトでは、犯罪だと知らされたうえで、犯行に加わってしまう一般人も出てきています。

反社勢力を肯定するつもりはありませんが、これまで反社勢力が、一般人の中のこのような反社会的な行動に出る人間を統制してきた部分はあると思います。

企業などでも、株主総会で、総会屋が、総会を荒らし、それを回避するために、企業からお金が流れるということがありましたが、現在は、反対に、企業が反対勢力を抑え込むために、反社勢力を利用するということがあります。

その時動くのは、わかりやすい暴力団構成員だけとは限りません。

広域指定を受けていない組織の構成員が全国にいると考えてよい状況です。

これまでと異なるのは、独立型の一般人の犯罪者が、トクリュウ型のグループとネット上でつながってしまう可能性があることです。