アメリカ(U.S.A)のトランプ大統領が関税障壁を設け、各国から有利な貿易の条件を引き出そうとしています。
交渉対象を細かく分け、それぞれの分野で有利な条件を引き出そうとしているようです。
日本との交渉においても、主要な分野の交渉が進めば、コメやエネルギー資源、ひいては自衛隊の装備品まで追加購入を迫ってくることは目に見えています。
しかし、大きな枠組みとしては、ブレブレな部分もあります。
一方的に関税障壁を設けられるわけではなく、交渉が上手くいかなければ、日本側が報復関税をかけても不思議ではありません。
さらに、関税障壁を設けることで、アメリカ国内の企業の製品の消費を拡大しようと考えているようですが、すべての製品をアメリカの国内で内製できると考えていることが、現在の世界経済の常識からは、かけ離れた考え方だと思います。
トランプ氏がやり玉に挙げている、自動車にしても、日本の企業の部品なしでは、アメリカ車の生産も難しいと思います。
軍事兵器もしかりです。
ロシア(ロシア連邦)とウクライナの戦争で、ロシア側の兵器に日本製の部品が使われていることが明らかになっています。
もちろん勝手に使っているものです。
この事実が何を意味するかというと、本来敵の味方である日本の製品を使わなければ、軍事兵器の必要な精度を確保できないか、必要な範囲のコストに収まらないことを意味しています。
つまり、アメリカも世界に売ろうとしている軍事兵器を造るのに、日本製品を使わずに製造できるとは思えないのです。
関税を設けて製造コストが上がれば、その後自衛隊の装備品を追加購入しろと言っても、自ら購入しにくい条件を整えてしまっているわけです。
投資の世界に「フリーランチは無い」という言葉があります。
貿易交渉においても、決してトランプ大統領の独り勝ちという構図にはならないと考えてよいと思います。
ただ、誰も得をしなさそうなことをして、特定の人や企業に大きな損害が生じてしまう事態にはなると思います。