江藤農林水産大臣が、辞表を石破総理大臣に提出し、受理されました。
後任には、小泉進次郎氏が、起用されるようです。
これについて、不祥事により事実上の更迭せざるを得なくなったので、国民に人気のある小泉進次郎氏頼みの人事ではという見方が一般的なようです。
選挙も近いため、そのような側面もなくはないと思いますが、結構ズレた見方ではないかと思っています。
石破総理大臣は、経済にはそれほど強くないと言われていますが、防衛問題には精通していると言われています。
もう1つ強い分野があります。
農水分野です。
その分野に強い政治家は、所管の官庁と仲が悪い傾向にあります。
通信事業に精通していた菅元総理は、総務省から嫌がられていたわけです。
石破総理も、農林水産省からしたら目の上のたんコブのような存在です。
急にお鉢が回ってきた感のある石破総理であるため、内閣の人事も付け焼刃のようにも見えますが、バランスがとれるように配慮されているのではないかと思います。
例えば、軍事オタクといわれている石破総理ですから、行き過ぎないように現場を知っている中谷氏を防衛大臣に据えています。
農林水産分野についても、農林水産省と仲の悪い自分と同じ路線というよりは、農家寄りで、これまでの農水族に近い考えを持つ江藤氏を農水大臣に据えていたのです。
ですから、本来農林水産省や農家にとっては、江藤大臣の方が都合がよかったはずなのに、野党やマスコミによって辞任に追い込まれてしまった。
江藤氏の続投を表明した任命権者としては、心中穏やかではないわけです。
以前、農協改革を行おうとして、抵抗勢力によって失敗に終わり、プリンスなりの下積み活動に追いやられていたのが、小泉進次郎氏です。
世間の評判どおり、人気先行の感はあると思いますが、この経緯を農水通の石破総理も当然知っています。
石破総理は、どちらかというと問題は起こしてくれるなというタイプのようですが、穏当な江藤元大臣を辞任に追い込んだのなら、お米の流通にも一役買っている農協といわくのある小泉進次郎氏を抜擢してやるということではないかと思います。
これは、独自の考えを持つ小泉進次郎氏を抜擢することにより、農水分野で石破路線を強めるという農林水産省や農協に対する意思表示ではないかと思います。
当面はお米の値段を下げることに注力しなければなりませんが、もう少し長い目で見ての人事だと思います。
選挙前の消費税減税無しの選択といい、既に石破政権は終わっているという評価も出回っていますが、あくまで続投を前提に、経済や農水分野で、ご本人なりに筋を通されたということなのだと思います。