日本政府は、アメリカ(U.S.A)のトランプ大統領が課そうとしている関税での交渉を、やりにくいなりに、上手く事を運んでいるのではないかと思います。

最近発表された、日本製鉄とUSスチールとの提携も、日本政府のプッシュがあったことも進展の一助になっていると思います。

赤澤亮正経済再生担当大臣が3回目の関税交渉のために渡米しましたが、移動の最中に、トランプ大統領の意向により、石破総理とトランプ大統領の間で電話会談が行われたのです。

気になることがあったのだと思います。

日本政府は、トランプ大統領が、少々強引なことを言い出しても、何通りかのシナリオは用意しているはずです。

このブログでは、日本に輸入する天然ガスの運搬に使う船の日本での建造が検討されているので、逆輸入のために自動車を運ぶ船の売り込みを行ったらどうかというアイデアを書きました。

日本政府は、アメリカが領有に興味を示している、グリーンランド(デンマーク王国自治領グリーンランド政府)へ行き来するための砕氷船での技術協力を交渉のカードの1つとして考えているようです。

日本には「砕氷艦しらせ」や「砕氷艦ふじ」で培ってきた技術がありますので、信頼できる技術がなければ任せられない砕氷船の建造には長けているのです。

アメリカがグリーンランドに興味を示しているのは、北極海の海底には豊富な資源が眠っているのではないかということも理由の1つです。

更に、アメリカとロシア(ロシア連邦)は離れているようですが、ベーリング海峡を隔てて隣り合わせていますし、仮にアメリカがグリーンランドを領有するようなことがあれば、北極海を挟んで向かい合うことになります。

ロシアはウクライナをはじめとする隣国がNATOに加盟すると、首都モスクワが比較的射程の短い武器でもNATO軍の武器の射程内に入ることになります。

それをロシアが嫌がっているというのもウクライナと戦争になった理由の1つです。

北極海にアメリカが進出するとなれば、パワーバランスが変わってきます。

そのため、アメリカ国防総省も北極海での戦略を重視し始めています。

北極は、南極と異なり領有権について規定した条約がありません。

そのため、北極に関しては、日本も決して蚊帳の外ではありません。

ただし、資源開発のために、日本が砕氷船で北極海を頻繁に行き来すれば、ロシアが黙っていないでしょう。

アメリカの船を建造し、アメリカの船が通った航路を日本も航行するというのも悪くありません。

この辺の情報は、すでにグリーンランドを訪問している「北極のフロンティアを考える議員連盟」(北極議連)の幹事長、上川陽子議員(元外務大臣)あたりから、日本政府が得ているのではないかと思います。

女性は子供を産むべきと言ったとかで、一時期失言で叩かれていましたが、日本でどのような政府が成立したとしても、国の中枢で働いてもらった方が良い人の1人ではないかと思います。

興味はないけれども委員会の役回りで、たまたま北極担当になったというタイプの議員では、事の重大性に気づくことすら難しいのです。