株式会社NTTドコモが住信SBIネット銀行の買収を発表しました。

楽天グループがモバイル事業に参入し、楽天モバイルは楽天銀行、ソフトバンクは、PayPay銀行、KDDIはauじぶん銀行があります。

銀行業を持たないドコモが、銀行業務を補完したいと考えることは当然ともいえます。

ただ、ソフトバンクグループが、なぜ自分のところの銀行を、ライバル企業であるNTTドコモに売ってしまうのか疑問に感じる部分もあります。

これに関しては、思っているほどSBIネット銀行がソフトバンク色が強くなく、グループ内の後発の企業として独立性が強かったのかもしれません。

それに加え、ソフトバンクグループは、今回の買収について、完全に住信SBIネット銀行を切り離すという考えでもなさそうなのです。

ソフトバンクグループは、もともとあった住信SBIネット銀行に加え、ジャパンネット銀行を前身とするPayPay銀行、新生銀行を前身とするSBI新生銀行があります。

グループの主力をSBI新生銀行として、住信SBI銀行の売却代金を新生銀行の前身である長銀(日本長期信用銀行)の頃に投入された公的資金の返済に充てるようです。

借金さえなくなれば、リアルな銀行業務の経験のあるSBI新生銀行の方が、業務に長けていて、グループ企業を含めて金融業が行いやすいということなのかもしれません。

更に、SBIホールディングスの北尾会長は、ドコモが買収した後も、住信SBI銀行との関係は切るつもりはないようです。

つまり、ソフトバンク得意の投資事業としての動きではなく、自分のところで育てた銀行を、いわば里子に出すような感覚なのかもしれません。

大手キャリアとしてライバル企業ではありますが、もとは国営のNTTという、回線基盤を持つ企業と競争関係にはあるが、連携もしたいという通信業界特有の事情があるのではないかと思います。