参議院議員選挙でトラブルが起きています。
投票日は、まだ来ていませんので、期日前投票についてのものです。
トラブルについて見る前に、日本の選挙制度の選挙の原則を確認しておきましょう。
日本の選挙では、選挙の原則として、
普通選挙であることが要請されます。
普通選挙とは一定の年齢に達したすべての国民に選挙権が与えられるというものです。
普通選挙に対する概念は、制限選挙で、選挙に一定の資格などを要求する場合が、これにあたります。
日本では、公職選挙法により、拘禁刑以上に処せられると、選挙権がありません。
簡単に言うと刑務所の中から投票できるわけではないということです。
できるのは、憲法改正の際の国民投票だけです。
また、公職選挙法違反などの罪を犯した場合には、執行猶予期間中(塀の外にいます)でも、選挙権が認められなかったり、刑の執行を終わっても一定期間公民権が停止されることがあります。
普通選挙の原則との関係で問題がありそうですが、違憲とはされていません。
次に平等選挙です。
選挙人1人に1票という原則です。
複数票を持てないというだけでなく、性別や財産、学歴などでも差別されないという意味を含んでいます。
一定資格を要求した場合に、普通選挙の原則に反するということと、一定資格が性別、財産、学歴などの場合には平等選挙の原則にも反することになるので、どちらの原則に反するかは、制限事由をどう評価するかにもよりますので、判断が微妙になってきます。
制限事由によっては、両方の原則に反するということもありそうです。
更に、秘密選挙であることが要請されます。
秘密選挙とは、誰が誰に投票したかわからないように、選挙が行われなければならないというものです。
次に、自由選挙です。
自由選挙の原則は、投票するかしないかや、誰に投票するかが自由というだけでなく、政党結成の自由や選挙運動の自由などを含んでいます。
最後に、直接選挙です。
直接選挙は、有権者の投票によって、当選者を決めるというものです。
これに対する概念は、間接選挙で、アメリカ(U.S.A)の大統領選は、国民が直接投票しているわけではなく、有権者が、州ごとに選挙人を選び、選ばれた選挙人が、大統領や副大統領の投票を行うことによって決められているため、間接選挙にあたります。
以上が、日本の選挙で要請される選挙の原則です。
それでは今回起きたトラブルについて見てみましょう。
今回、17歳の人が、期日前投票に訪れ、投票してしまうというトラブルがありました。
この人が、なぜ投票に訪れたかというと、期日前投票日現在では17歳なのですが、投票日には18歳になっているというレアケースだったのです。
選挙権は、投票日を基準に判断されるので、普通選挙の原則から、選挙日の投票でも、期日前投票でも、投票時点で18歳でなければ投票はできないのです。
このようなケースを防ぐため、投票時の確認の際に、システム上警告が表示されるようになっているようですが、それを見落とし、投票させてしまったのです。
本来どうすべきかといえば、このような場合は、例外的に不在者投票ができることになっています。
そのため警告が表示された時点で、期日前投票ではなく、不在者投票を行うか、どうしても選挙権を行使したいのであれば、投票日に投票するかのどちらかだったわけです。
今回、投票してしまったものが、どう扱われるかといえば、有効票として扱われます。
秘密選挙の原則により、投票用紙を特定することはできませんので、一旦投票されたら、投票内容に不備がない限り、有効票として扱わざるを得ないのです。
いつ選挙があるかはわかりませんので、これからも17歳から18歳の間に選挙が行われる人は、注意が必要です。