終戦記念日が近づき、広島、長崎の平和式典が開かれ、先の大戦に関連した行事が続きます。
広島や長崎に原爆が落とされた時、放射線による被爆の被害を食いとどめるため、味噌汁を飲むように指導した医師がいました。
長崎県の聖フランシスコ病院にいた秋月辰一郎医師などです。
現在なら、ヨウ素などを用いるところですが、戦時中なので、そのようなものは十分にはありません。
そこで、味噌汁を飲むように、指導していたのです。
直接の被爆の被害以外に、体の栄養が足りていないと、体に必要な栄養素と似た性質のある放射性物質を、体が誤って取り込んでしまいます。
例えば、化学の周期表の同じ列にある「族」は、化学的な性質が似ている物質になりますが、放射性物質であるストロンチウムは、カルシウムと同じ族に属します。
つまり、カルシウムが足りていないと、体が誤ってストロンチウムをカルシウムのつもりで取り込み、放射性物質が骨髄に行ってしまうため、血液性の癌などにかかるのです。
そのため、気休めではなく、味噌汁を飲むだけでも被爆を食いとどめる(※1)効果はあるのです。
それだけでなく、味噌には放射線による消化官へのダメージを軽減する効果も期待できるのです。
秋月医師の場合は、これに加え、ヨウ素を含んだワカメの味噌汁を勧めていました。
当時、味噌自体も貴重なものだったと思いますので、指導したところで、その味噌自体がないという地域もあったと思いますが、手に入る可能性のあるもので、被害を小さく抑える指導を初期の頃に行ったことは、被爆者本人の被害や、その人の子孫への被害を食いとどめることに役立ったと思います。
秋月医師だけでなく、名を知られていない医師の中にも、このような指導をした人がいたのではないかと思います。
スポーツの世界で、国民栄誉賞を受賞する人がいますが、物のない時期に被爆を抑えるために、味噌汁を飲むよう指導した医師は、国民栄誉賞ものではないかと思うのです。
医師だから当たり前ということではなく、科学的知見が日常生活の中で活かされなければ、被害は更に拡大していたのではないかと思います。
(※1 被爆しなくなるということではなく、ダメージをより少なくするという意味です。)