2021年に、名古屋出入国管理局の施設で、スリランカ(スリランカ民主社会主義共和国)人のウィシュマ・サンダマリさんが、亡くなりました。
体の不調を訴えていたにもかかわらず、適切な医療を受けられなかったとして、遺族が国家賠償の請求をしている裁判で、第21回口頭弁論が名古屋地方裁判所でありました。
ウィシュマさんの診察にあたった非常勤医師は、ウィシュマさんが、診療時間外に訴えていた症状の一部や点滴を求めていたことを、入管職員から報告を受けていたかについて、原告側の代理人から問われると、「記憶にない」と陳述しました。
なぜ点滴をしなかったかについては、入管施設に点滴の態勢はなく、権限がなかったと答え、外部の医師に判断を依頼できなかったかについては、自分が判断しなくても依頼をすることはあると答えたようです。
この医師が、嘘を言っているかどうかはわかりません。
ただ、本当だとしても、態勢が整っていなければ、わざわざ措置をすることはしないし、他の職員でも外部の医師に判断を求めることはできるから、特に何もしないと言っていることになります。
推測になりますが、おそらく他の職員は、医師が措置をしないのだから大丈夫だろう、医師が、何も指示しないぐらいだから、外部の医師に相談することもないだろうということで動かなかったのではないかと思います。
実際にそうであったかどうかはわかりませんが、入管施設に、入っている外国人への対応というのは、このようなものであっても、何ら不思議ではありません。
法務省管轄の出入国管理庁の施設で、このような状態が起こりえるので、人権保障などは、はなはだ怪しいものになってしまいます。
問題は、医療についての判断だけでなく、その後も、ウィシュマさんの遺族が、訴訟のために文書や監視カメラ映像の開示を請求した時も、国側は個人情報の保護や保安上の問題を理由に拒否してきました。
時間と労力をかけやっと、黒塗り文書と監視カメラ映像の一部が公開されたぐらいです。
外国人の中には、在留の継続や罪を免れようと、詐病を使う外国人が実際にいますが、詐病の外国人と、このような対応をする日本人で、どちらがマシとは言えない状態になってしまっています。

