長崎県の大石賢吾知事が、原発から出る高レベル核廃棄物の最終処分場として対馬市の名前が挙がっていることに関連して、「課題や慎重に検討すべきものがある中、現時点で推進する立場にはない」と表明しました。

つまり、核燃料廃棄物の最終処分場として、対馬市で推進していく方針ではないということになります。

賢明な判断だと思います。

最終処分場としての文献調査を受け入れた自治体には、2年間で最大20億円が国から交付されることになっています。

長崎県は日本列島の中では周辺に位置するといって良いと思います。

その長崎県で20億円というのは、決して少ない額ではありません。

しかし、長崎県は豊富な水産資源に加え、著名な芸能人やジャパネット高田などの企業を輩出している県でもあります。

核廃棄物の最終処分場ができることで、このような風土に好影響を与えるとは思えません。

何より軍事兵器ではないにしても、原子爆弾が投下された県として、核燃料の廃棄物に嫌悪感を示しても全く不思議ではありません。

そのような地域に最終処分場を作るという発想自体が、県民感情を逆なでしているようにさえ思えます。

むしろ、かつて外国への窓口になっていたことや坂の多い異国情緒漂う街並みなど、人が寄ってくる方向での政策を実施した方が、20億円分の価値があるのではないかと思ってしまいます。

長崎に限らず、人口問題や雇用問題といった地方が抱える問題に取り組むには、まずはお金と考えることは無理もありませんが、目先のことで、地元の人には当たり前になっている資産を安易に減らすようなことがあってはなりません。

その意味でも今回の長崎県知事の最終処分場に対する方針の表明は、意味があったのではないかと思います。