名古屋出入国在留管理局の施設内で、2021年3月に死亡したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんの遺族が国家賠償を求めた裁判が名古屋地方裁判所で行われています。
口頭弁論手続きで、遺族側は、国の調査報告書に重要な事実や評価に誤りがあると指摘する書面を提出しています。
本来、入管側の対応に不備があり、人が死亡してしまっていることは事実です。
対応に不備があったと謝罪し、取り返しはつかないけれども賠償する他ありませんということで事を収める他ないような案件です。
それが、遺族側が繰り返し要求しなければ、記録されていた映像も出てこない、訴訟をしなければ賠償さえないという対応は異常というほかありません。
今回訴訟になったことで入管側が保管している映像が公開できないものなのかどうか、裁判官がまず確かめることができるインカメラビューという手続きも選択しうることになります。
このような手続きで映像を確認してみて、単に入管側に都合が悪いだけだったとなった時、誰がどう責任を取るのでしょうか。
今回は関わった人間にウィシュマさんを死亡させるという意図はなく、結果的に複数の対応の不味さが重なって生じた結果なので、誰かが責任を取るという問題ではないという認識があるのではないでしょうか。
複数の不備が重なっているなら、その複数の人間を管理・監督する立場にある人間が責任を取らなければならない問題です。
最終的にはお金の問題になるだけと高を括っていないか疑問に思います。
企業であれば、社会的に避難されるようなことがあれば、存続に関わります。
公務員であるから、存続の心配はないということで、このような対応が取られているのあれば、出処進退に関わるような制度を作っていかなければ改善されないのではないかと思います。