以前、このブログの記事でも取り上げた岐阜県大垣市の風力発電建設を巡り、警察が、建設反対派住民の個人情報を収集して業者に提供していたことに対する損害賠償を求めた裁判の控訴審判決が名古屋高等裁判所でありました。

結論としては、第一審の岐阜地方裁判所の判決を変更し、情報提供だけでなく、情報収集したことも恣意的な運用だとして違法性を認め、440万円の賠償を命じました。

さらに、県が保有すると認められる情報の抹消も命じました。

この県が保有しているというのは、おそらく岐阜県が岐阜県警の上級行政庁にあたるため、このような表現になっているだけで、実際には岐阜県警が保有しているのではないかと思います。

事案は、風力発電設備の建設に反対する住民の個人情報を警察が収集し、岐阜県警大垣署の警察官3名が、発電設備建設を計画している中部電力の子会社、シーテックの関係者との間で、情報交換を行っていたものです。

この手の事件では、そもそも警察が反対派に付いて、業者側の情報を収集するということが少なく、なぜか住民側を嗅ぎまわるというのが相場です。

そのようなことが行われると、国や、県、業者側への便宜を図っていると受け取られても仕方ありません。

この時点で、政治家や官僚、企業から、警察に何らかの圧力や利益誘導が行われたのではないかと推測してしまいます。

確かに、様々な社会問題に対する反対派は、犯罪的な手段で反対運動を展開する場合もありますが、具体的な事件性が無いままこのような情報収集が行われるのは、事件を前提とせずに捜査しているのとあまり変わらなくなってしまいます。

特に警察の場合は他の行政機関と異なり権力的な手段を行使することがあるため、その危険性は、おわかりいただけると思います。

事件へ警察資源を注力するためにも、本来警察が行うべき業務の整理と地位の独立性を強化すべきなのだと思います。