神戸港の沖で押船と貨物船が衝突しました。

この事故で押船の船長は亡くなっただけでなく、船員1名が行方不明になっていました。

この船員が、転覆から7時間後に船内から救助されました。

生存者の有無を確かめるために、海上保安庁の特殊救難隊の潜水士が船を叩くと、応答するように船を叩く音が聞こえました。

転覆した船の中に人が立てるぐらいの空間があり、ほぼ水につからない状態で身を潜めることができていたのです。

救出時の状況を動画で見ることができましたが、海上保安庁の潜水士が潜って船の中に入ると、不明の船員が中で立っている状態でした。

見つかったはいいものの、どうやって救出しようかとなりそうなものですが、そこは訓練を重ねている海上保安庁の職員なので、けがの有無を確認し、「今から、外へ出るためにマスクを着けてもらいます。ちょっと寒いですけど、いったん海の中へ入ります。」と伝えて、海へ一緒に潜り、無事救出しました。

マスクというのは勿論、新型コロナウィルス用のマスクではなく、酸素ボンベのマスクです。

すでに気温は低くなっているので、海の中だと助からないだろうとあきらめてしまいますが、転覆船の中で生きているということがあるのですね。

初動対応が重要なことがわかります。

また、めったに経験することではありませんが、救出時の映像などが公開されると、同じように非常時に冷静に対応すれば助かることがあるということがわかります。

今回も自力で外へ出ようとするのではなく、安全を確保できる場所で救助を待ったことが、救出につながったのだと思います。