アメリカ(U.S.A)でトランプ政権が誕生し、体制の刷新が行われています。

トランプ大統領の刑事捜査を担当していた職員10人以上が解雇されました。

アメリカでは、大統領が変わると、お役所の職員の刷新が行われるということは珍しくありません。

しかし、公務員試験に基づく採用のように、政治任用ではない方法で選任されている職員の場合、政権が代わっても雇用が継続されるのが通常です。

ところが、トランプ政権は司法省の刷新にも着手していますし、今回、特別検察官だったジャック・スミス氏の下で働いていた10人以上の職員が解雇されてしまったのです。

報復人事以外の理由があるとは考えられません。

司法省の高官は、「大統領を起訴するうえで重要な役割を担ったことを踏まえると、これらの職員が大統領の政策を忠実に実行するとは信用できない」と説明しています。

しかし、逆に、司法制度に則り、正当に刑事責任を追及していた職員の労働者としての権利を侵害したトランプ大統領を信用することはできないとも言えます。

今回解雇された職員の上司で特別検察官だったジャック・スミス氏もトランプ大統領に対する2つの刑事事件を取り下げた後、辞職しています。

もちろん、トランプ大統領の嫌疑が晴れたからではなく、大統領に当選した結果を踏まえ、司法省の慣行により起訴することが難しくなったために事件を取り下げただけです。

トランプ大統領は、取り下げられた事件以外ですでに有罪になっているものもあり、アメリカは、犯罪を犯した人間を大統領に選んだうえ、その大統領によって司法制度が捻じ曲げられていくという事態になっています。

問題は、トランプ大統領の意向とはいえ、解雇自体は司法省が行っていることです。

司法省といえども大統領には逆らえないという大統領の権限の強さがうかがえます。