東日本大震災の影響や設備の不具合、その他の事情により、各地で原子力発電所の運転が、一時停止されています。
既に、運転が再開されているところもあります。
原子力発電所による発電が、電力の供給源である日本原子力発電株式会社(原電)が決算期を迎え、純利益が80パーセント増であることがわかりました。
原電は、敦賀原発2号機や、東海第二原発を保有していますが、現在は運転が停止されているため、電力は供給されていません。
なぜ、利益が上がるかといえば、電力の供給を受ける電力会社が、基本料金を払い続けているからです。
電力が供給されていないにもかかわらず、電力会社は、供給を受ける日のために基本料金を払い続けているのです。
見ない動画のサブスク(サブスクリプション)の料金や、利用しないサービスの会費を払い続けているようなものです。
個人利用のサービスと異なり、電力会社の電力の場合は、必要な時だけ契約するというわけにもいかないのだと思いますが、商品である電力を供給しなくても儲かるというのは、商売上手の範疇を超えています。
都合の良い条件設定というほかありません。
この他、東京電力に限っても、2021年度からの3年間で、約1400億円を安全対策費や工事費として、原電に資金を融通しています。
東京電力は原電の大株主です。
原電が金融機関から、これらの費用を借り入れるために、債務保証するというのが通常のかかわり方です。
これについても、大株主が債務保証しなければならないというものでもありません。
それを、資金援助のような支援の仕方をしているのです。
電気料金に跳ね返るかというと、お金の出所は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの交付金であるためその心配はなさそうです。
ただ、この交付金、原電に融通するようなお金でしょうか。
東京電力は、消費者の料金から払われるわけではなく、単なる資金援助ではなく、原電に対する電力料金の前払いだと主張しています。
通常、料金を前払いする場合、割引料が発生するのが通常ですが、そのような条件は明らかになっていません。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構は、福島第一原発の事故を受け、官民の協力によって設立された組織です。
被害者への原発事故の賠償金や対策費を東京電力に立て替える組織です。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構のお金がどこから出ているかといえば、国債の発行により賄われています。
つまり、お金は、国債の発行(国の借金)→原子力賠償・廃炉等支援機構→東京電力→原電(利益)という流れになっているのです。
原電、民間企業といえるでしょうか。
自然エネルギー事業を展開している民間企業は大きな損失を出しています。
自由競争といえるでしょうか。
民業圧迫ではないでしょうか。
ゆがんだエネルギー政策により、安全で、経済的な電力供給の機会が失われているといってよいのではないでしょうか。