防衛省は、今年の8月にもアメリカ(U.S.A)のいわゆるステルス戦闘機F35Bを航空自衛隊の新田原基地(宮崎県)に配備するために、準備を進めています。
アメリカと日本の武器についての関係は売る側と買う側との関係で、何をどれだけ買うかだけが問題とされがちですが、日本国憲法との関係では、だんだん購入する武器と憲法解釈の間に齟齬が生じ始めています。
戦闘機などで使用されるアルファベットは武器の機能を表します。
例えば、F35Bの「F」はFighterの略ですから、戦闘機としての性能を有することがわかります。
更に、F35Bの「B」はbomberの略で爆撃機です。
つまり、F35Bは戦闘爆撃機であることになります。
日本国憲法の解釈として、自衛隊は、専守防衛のための実力と解されるため、戦力にはあたらないとされています。
これまで、憲法第9条の規定から、自衛のための必要最小限度の範囲を超える攻撃的兵器の保有は認められないとされてきました。
それが、近年では、憲法第9条の規定はそのままであるのに、政府は、安保関連3文書と称される国家安全保障戦略(安保戦略)、国家防衛戦略(防衛戦略)及び防衛力整備計画(整備計画)の3つの文書を閣議決定し、敵基地攻撃能力を認めるに至っています。
つまり、専守防衛という方針は変えぬまま、相手国の領域にあるミサイル発射基地などを攻撃する能力の保有を認めているのです。
日本国憲法からすると、かなり無理のある解釈になってきています。
憲法改正手続きが取られないまま、解釈改憲を行っているといっても言い過ぎではない状態です。
つまり、「戦闘爆撃機」を買うかどうかや、どこに配備するかというより、そもそも憲法上持てるかどうかが怪しい武器といえるのです。
日本が、戦闘状態にあるのであれば、むしろ敵基地を爆撃できて当然といえるかもしれません。
しかし、憲法第9条が存在し、専守防衛という大原則を維持したまま、敵地に秘密裏に侵入し、敵基地を爆撃する戦闘機を保有していて、軍隊でも、戦力でもないというのは、日本人にとっても理解しがたいのではないでしょうか。
防衛のためであろうが、交戦状態になれば、攻撃が防衛かという区別をすること自体が難しいと思います。
相手国から、一方的に攻撃されるということを容認しないならば、戦力を持てないという規定や、防衛のみできるという規定は、国防という観点からは無理があると思います。
防衛のためにも、敵地にある攻撃力を破壊するということはありうることだと思いますので、ストレートに、それが認められる規定に改正されるべきではないかと考えます。
現実的な規定に改正すべきということであって、決して戦争に賛成ということではありません。