愛知県でフィリピン人2人がワタリガニ500匹を密猟したとして書類送検されてしまいました。

違法だとは知らなかったと言っているようですが本当のところはよくわかりません。

確かに海にあるものは誰のものではないと思って獲ってしまったという可能生はあります。

ただ家族や仲間に食べさせようと思ったと供述しているようなのですが、家族や仲間で食べるのに500匹獲るかと言うと怪しい感じがしてしまいます。

仮に本当に知らなかったとしても無罪ということにはなりません。

民法上は無主物先占(民法第239条第1項)といって日本でも所有者がいない物は先に占有した人が所有権を取得するというのが原則です。

ただ魚介類の場合、漁業権が定められています。

そのため魚介類については漁業権が設定されている区域では勝手に魚介類を獲ってはいけないというのが原則となります。

漁業権については漁業法という法律で定められています。

通常、地域の漁業協同組合などで漁業権を管理しています。

漁業協同組合から漁業権を購入するなどして承認を受けると釣ったり獲ったりできるようになるわけです。

更に経済的な理由だけでなく生態系の保護など様々な理由で条例などで規制がかかっている場合もあります。

こうなってくると外国人だけでなく日本人でも獲ってよいか悪いか判断がつかない場合も出てきます。

ただし規制を知らなかったからお咎めなしというわけには行きません。

漁業法や条例に定める罰則は刑法自体ではないのですが、刑法第38条第3項に「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。」とあります。

法律を知らなかったと言っても故意がなかったことにはならないということです。

これは特別法や条例などでも同様に解されるため故意に禁止されている行為をすれば違法性が推定されてしまいます。

そのため今回書類送検された外国人はワタリガニを獲ってはだめだと知らなかったとしても有罪になってしまう可能性が高いのです。