以前書いた、代襲相続の関連記事を書きます。
相続人が兄弟姉妹の場合には代襲相続はあるが、再代襲はないということを書きました。
ここまでは、法律の勉強で知っておくべきことです。
実務に出ると、言葉で勉強したことと、勉強した法律の適用場面で一致しにくいものがあります。
たくさんのことを勉強するのに、一つ一つ具体的なケースをじっくり検討している暇がないからです。
その一つに兄弟姉妹の代襲相続があると思います。
言葉で覚えると兄弟姉妹と相続人という言葉が結びつくと必ず代襲相続が生じるような感じがしてしまいますが、実際は具体的な事例と結び付けて理解していないと相続人の特定を誤ります。
子が推定相続人である場合
ケース1(子に代襲相続が生じるケース)
推定相続人(=相続人となるはずの人)である子供達の中に、被相続人(=亡くなった方)よりも先に亡くなっている子がいる場合、その亡くなっている子の子供が相続できるというのが代襲相続のわかりやすいケースです。再代襲もありえます。
兄弟姉妹が推定相続人である場合
兄弟姉妹が推定相続人になる場合とは、被相続人の卑属(=代が下の者)や尊属(=代が上の者)がいない場合です。
ケース2(兄弟姉妹に代襲相続が生じるケース)
推定相続人である兄弟姉妹の中で被相続人よりも先に亡くなっている人がいて、その亡くなった方にお子さんがいた場合、代襲相続が生じます。再代襲はありません。
ケース1の変形がケース2のように感じてしまうケース
ケース3(子に代襲相続人がいなかったケース)
ところが、被相続人から見て相続人が卑属である子供達の場合、この中に亡くなっている人がいるけれども、その方に子供がいなかった場合、他の兄弟が代襲相続しそうな感じがしないでしょうか。相続人としては子であるけれども、相続人同士は兄弟だからです。
相続人+兄弟+先に死亡→代襲相続と考えてはいけません。
このケース3の場合、他の兄弟が代襲相続することはありません。卑属ではないからです。
更に普段よく考えることではないので、一度理解した理屈でも具体的な事例と結びつきにくいため、ケース1とケース2が頭のなかで混ざったりすると、このケース3で代襲相続が生じるように思えてしまいます。
兄弟姉妹について代襲相続が発生するということと、兄弟姉妹が代襲相続するかということは全く別なのです。