デジタル遺産について書きます。

相続発生時通常の財産については遺言があってもなくてもどのような財産があるかは調査によりはっきりすることが多いと言って良いと思います。

ところがデジタル遺産、つまりPC(パソコン)やインターネット上の自分の財産についてはなかなか調査してもわからないということも起こります。

中でもすぐに影響がありそうなのが有償のサービス利用などです。

例えば会員制のサービスを利用していた場合、本人が死亡しても会費が請求され続けていたりすることがあります。

預貯金は銀行口座を調べればわかりますが、FX外貨取引などを行っていることを家族が知らない場合もあります。

レバレッジを効かせた取引をしていて、たまたま死亡後に相場が保有ポジションの反対に動いた場合、証拠金の追加が必要なのにそのまま放置していたがために自動決済などということも起こりえます。

極端な例では株式で信用取引をしていて死亡後に相場が反対に動いたら借金が残るということになりかねません。

金融相場の変動リスクだけでなく寿命のある自分が取引をしているということにもリスクが伴うということも考慮しておきましょう。

このようなトラブルは有償のサービスに限ったことではありません。

無償で提供されているサービスでもトラブルは起こりえます。

使用しないまま放置しているとアカウントが乗っ取られる可能性があります。

もう使わないなら不都合がないようにも思えますが現在はSNSのアカウントを他のサービスの認証手続きに利用したりすることがあります。

乗っ取ったアカウントには個人情報が記載されていますのでこれを利用して有料のサービスなどに申し込まれたりすると大変です。

無料のサービスでも注意は必要なのです。

一度通常の財産目録に記載するものやネット上で利用するサービスなどについてリスト化してみると良いと思います。

遺言書を作るメリットはこのように経済的な財産を把握するだけでなくトラブルを防ぐためにどのような手を打っておかなければならないかを把握することにも役立つのです。

このようなデジタル遺産を自分の死後整理する専門業者もありますがやはり割高です。

知り合いなどに依頼しておくのも一つの方法ですが自分が死んだことが分かる状態にしておかないと意味がなくなってしまいます。

遺言書にデジタル遺産についても記載し遺言執行者を定めておけばデジタル遺産の整理にも役立ちます。

現在は一定期間利用しないと予め登録しておいた複数の人間に知らせてくれるサービスというものもあります。

このようなサービスを利用すればそれもデジタル遺産の一つということになってしまいますが。