ゲームの人気ポータルサイトモバゲーの規約を巡って行われていた裁判でさいたま高等裁判所の判決が出ました。

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さいたま高裁は第一審を支持し控訴を棄却しました。

原告は埼玉県の消費者団体「埼玉県消費者被害を無くす会」で規約に基づく契約の差し止めを求めていました。

ということは控訴審が契約を差し止めを認めたということになります。

問題となったのは規約の中に「会員として不適切であると当社が判断した場合」に会員資格の取消ができ、損害が生じても賠償しないなどの規定があったことです。

この種の規定は様々な規約に書かれていますのでこの判決の影響はかなり大きいと思います。

規約を作る側に都合の良い規定ですが、民法上契約法の分野では契約自由の原則が妥当しますので公序良俗に反しなければどのように契約内容を定めるかは当事者の自由なわけです。

そのためモバゲーの規約でなくてもこの種の規定は定めた者勝ちというぐらい様々な規約や契約書の中に見られます。

第一審は規約に基づく判断について客観性を伴う判断でなくてもかまわないようにも解釈できるとして契約の差し止めを認めました。

これを受けディー・エヌ・エー側は規約を「会員として不適切であると当社が合理的に判断した場合」と「合理的」という文言を付け加えていましたが、控訴審ではこれについても、「著しく明確性を欠き複数の解釈ができる」との判断を示しました。

控訴審の「明確生を欠く」という判断は「適切」に判断していると思います。

上にも書いたように契約法の分野は原則としてどのような内容を定めるかは自由なはずですが、本件契約が規約であり、1件1件の消費者ごとに契約が締結されるものではなく定型的に定められているものであることやサービスを利用したければ個別規定の交渉の余地なく合意する他ないことなどを考慮したものと思われます。

そのため企業間の契約などではそのまま妥当しない可能生もありますが、消費者向けのサービスでは同様の判断がなされる可能性が高いということになります。

控訴審は規約について事業者は消費者にわかりやすいように配慮する努力義務があるとしています。

努力義務違反が直ちに違法になるとは限りませんが、本件のように契約当事者の関係や内容によって違法性が出てくるという判断が示されたことになります。