外国人の技能実習生が退職に際して、よく意思確認をせずに勝手に帰国の手続きをとったとして就労先と監理団体に損害賠償を求めていた訴訟で、損害の賠償を命じる判決が出ました。

フィリピン人の元技能実習生が会社への不満などから退職し、一時やむを得ず帰国を希望していましたが、その後実習の継続を求めていたにもかかわらず、監理団体が帰国手続きをとってしまったという事案です。

540万円の損害賠償を求めていましたが裁判所が認めた賠償額は55万円です。

このほか本来の実習計画と関係のない仕事をさせられたという主張もしていましたが、こちらは実習の内容に含まれるとして原告側の主張が認められませんでした。

これまで同じような事案は全国でたくさん起こっていると思いますが、外国人にとって不利な取り扱いについて賠償を命じる判決が出るのはめずらしいと言えます。

原告としては賠償額は低くなったけれども請求の一部が認められ、本来の実習計画には含まれない業務については認められなかったという不満が残ります。

被告としては本来の実習計画の内容以外の業務については認定されませんでしたが、在留資格の残りが4ヶ月であり新しい転籍先を探すことは難しかったにもかかわらず、勝手に帰国手続きをとったとして損害賠償が認められてしまったという不満が残ります。

どちらが控訴してもおかしくない判決内容となっています。

おそらくどちらか又は両者が控訴することになるでしょう。

判決はまだ確定していません。

まずは第1審で原告側が1勝と言って良いのではないでしょうか。