今日大阪地方裁判所で生活保護の基準の引き下げに対する処分の取り消しを求めた訴訟の判決がなされました。

裁判所は受給者に対する減額決定を取り消す判決を出しました。

第1審は原告側の勝訴ということになります。

通常訴訟は第2審までが事実審、第3審となる最高裁判所で憲法上の問題が争われることになります。

この事件の場合第1審から生活保護の基準の引き下げが生存権を保障する憲法第25条に違反するのだということを問題にしています。

つまり原告側は訴え提起の段階で最高裁判所まで争う気だったのではないかという予測がつきます。

そして、この事件のように生存権などの社会権の場合は、財源がなくては実現できない制度であるため、立法裁量や運用する行政側の裁量が広く認められ裁判所は積極的に判断しないことが多いのです。

それにも関わらず地方裁判所で処分の取り消しが認められたのは、デフレ調整を考えても行き過ぎと認定しているように思います。

更にそれに加え、このような問題の場合、引き下げられた基準が生存権を脅かすかどうかだけでなく、一旦決定された基準は合理的な理由なく引き下げられてはならないという制度後退禁止の原則という考え方を用いているようにも思います。

今回の判決でもこのような制度後退禁止の原則を加味した判断がなされたのではないでしょうか。

詳しい判旨を読んでみないとわかりませんが、地方裁判所での判決ですが、今後最高裁判例と同じように引用される判決になるかもしれません。