ワールドカップ予選のために日本に入国したミャンマー代表のサッカー選手が亡命申請したことが最近話題になりました。

日本は難民に関しては、受け入れが厳しい国として有名です。

入国した外国人の取り扱いについて人権問題が生じていることもあり、日本の在留制度や難民制度への国際的な批判も高まっています。

この度、出入国管理庁は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と難民認定制度に関する覚書を交わしました。

お互いに協力し合い難民認定を適正に行っていくためです。

難民高等弁務官は、この覚書を交わすことにより、既に日本が加入している難民の地位に関する条約、いわゆる難民条約に定められている義務を果たしていくことを確認し、国連難民高等弁務官事務所がこれを支援していくことを明らかにしています。

ただ、言い方を換えればこの覚書を交わさなくても条約の加入により、条約上の義務は課されていたわけで、その義務が十分に果たされていなかったことを認めてしまっているようにも見えます。

難民認定についても厳し過ぎるという批判があり、法務大臣の私的懇談会の専門部会でガイドラインを策定する作業を進めている最中です。

このように現状を把握していみると、難民認定について日本がいかに消極的であるかということがわかります。

ただこれは難民について開かれた国であればよいという問題ではなく、難民受け入れ後の生活の面倒をみるだけの財源や体制が整っていないのに受け入れるのは無責任であり、このようなことを避けるためでもあります。

単一民族であるかのような社会認識あるいはそれに近い事実状態があることも、消極的な制度運用を後押ししています。

人道的な立場から受け入れなければならない反面、このような制度を悪用して日本に滞在しようとする外国人には厳しく対処する必要もあります。

今回の覚書について難民制度の転換を図るものなのか、国際的な批判をかわすためのものなのかは、これからの運用次第ということになります。