建設現場でアスベストを吸い込んで中皮腫や肺がんなどになった作業員やその遺族からの集団訴訟が全国各地で提起されています。

このような訴訟では国やメーカーの責任を認める判決が出ています。

主に屋内作業員の被害に対する責任を認めるもので、屋外作業をしていた人たちは粉塵濃度が低いとして救済の対象とはなっていませんでした。

今回大阪地方裁判所で屋外作業に関わっていた作業員が提起していた訴訟で国との間で和解が成立しました。

国側は屋根材の切断でも屋内で行われることがあり、救済の対象として認めたのです。

国側がこのような歩み寄りを見せたため、原告側も作業実態を総合的に判断していると評価して和解に応じたようです。

屋外作業員が提起していた訴訟では初めて国と和解したことになります。

そのため他の訴訟にも影響を与えそうです。

ただし原告側代理人は国との訴訟とは別にメーカーを相手にした集団訴訟を提起する方針も明らかにしています。

屋内作業員については既に国だけではなくメーカーの責任も一定程度認める判決も出ていますので、屋外作業員についても責任が認められる可能性はあります。

そのためメーカー側が歩み寄りを見せれば今回のようにこちらも和解の可能性が出てきます。

既に亡くなっている方もいますし、未だに被害に苦しんでいる方もいます。

今から元通りというわけには行きませんが、判決ごとに賠償額が変動するよりも、和解で同様の条件で補償が行われた方が、当事者のどちらにとっても被害に対する区切りをつけて、次の生活へと気持ちを切り替えられるのではないかと思います。