役所から誤振込されたお金を、戻さず使ってしまったという事件が連日報道されています。

一時は使ってしまったなら、もう回収できないだろうと感じていました。

しかし、9割がた回収済みのようです。

誤振込したのが役所であることが大きく関わっています。

弁護士に依頼したようですが、正解だったと言って良いと思います。

まずマネーロンダリングを防止する法律を使ったようです。

誤振込されたお金を使ってはいけませんから、使われたお金は犯罪収益と言って良いと思います。

そこで、使われたお金がそれ以上散逸しないように、まずお金の動きを止めます。

その上で国徴収法を使ったようです。

使い込んでしまった人が国民年金の保険料を滞納していたため、役所は債権を持っていることになります。

国民年金は保険料と呼ばれますが、掛け金のようなものではなく、その性質は税金と同じで支払義務があります。

そのため国税徴収法により債務者の財産を差し押さえることができるのです。

これによって決済代行会社はお金を返還せざるを得なくなりました。

ただし決済代行会社の口座に残っていたのは、もっと少ないお金だったようですので、実際には世間で騒がれているので巻き込まれたくない、あるいは犯罪捜査の対象になりたくない、などの理由により任意に返還している部分もあるのだと思います。

年齢が若いことを考えると、国民年金の保険料を数千万円滞納しているということは考えられないので、すごく少ない額だとは思いますが、債権額が少なくてもそれを超える財産でも差し押さえできるという強力な権限が国税徴収法では与えられているのです。

本来の法の使い道とは異なりますが、目的のために法律構成をひねり出すというプロの仕事と言って良いと思います。