ロシアのウラジオストクで日本の領事が、ロシアの連邦保安局(FSB)に身体を拘束されました。
身体拘束時に頭を押さえつけて連行したという情報もあるため、尋常ではありません。
領事は邦人に対する事務や外国人の査証の発給などの事務にあたり、外交を処理するわけではないため、狭い意味では外交官ではありません。
しかし、広い意味では外務職員として外交官という呼び方に含めることができます。
外交官には外交特権が認められますが、これより狭い範囲で領事には領事特権が認められます。
いずれにしても軽々しく身体の拘束ができるわけではありません。
領事特権としては通常、重大犯罪で逮捕される可能性があるだけです。
治外法権などといわれ、かつては法律の適用がないと言われていましたが、現在は厳密に言うと法律の適用はあるけれども、訴追されないので適用がないのと同じような状態になるというのが実際のところです。
容疑の詳細は不明ですし、日本の領事が犯罪行為を行わないという保証はないのですが、言いがかりに近い可能性もあります。
ロシア側は領事が、その地位と相容れない行為をしたとして、それを認める映像があると主張しています。
しかし、取り調べをする人間から威圧的な態度での取り調べを受け、映像では渋々容疑を認めるところが映っているという情報もあり、それが本当なら相当問題です。
外交使節は接受国との合意により、外交使節として派遣されますが、接受国が外交使節に非行がある場合は、ペルソナ・ノン・グラータ(望ましくない人物)であることを通告し、身体拘束や退去強制を行います。
今回もロシア政府は日本政府に対しペルソナ・ノン・グラータの通告を行って抗議し、当該領事に対して48時間以内の国外退去を命じました。