動物にも権利があるという考え方自体は存在します。

しかし、日本の現行法上は動物は権利主体ではありません。

法律上、動物は「物」として扱われます。

動物が好きな人にとっては納得出来ないかもしれませんが、法律の上では物扱いなのです。

そのうえで、動物愛護法などの特別法で保護されることはあります。

ただ、これも動物の権利を守っているようで、人間の行為を規制しているわけです。

一般的な「物」自体の取り扱い方を規制する法律はほとんど見当たりませんので、動物の保護としては不十分なようにも思えます。

しかし、人間の行為を規制することにより、動物の利益の保護もある程度可能になるのです。

ペットについて、今年6月からマイクロチップの装着が義務化されています。

遺棄を防止したり、迷子のペットを保護するためです

マイクロチップを自分でペットに装着しようと思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、これは法律で禁止されています。

マイクロチップの装着は、首輪などを着けるのとは異なり、獣医料行為なのです。

そのため、犬にマイクロチップを自分で装着したブリーダーに有罪判決が下りました。

自分で犬にマイクロチップを装着し、輸出の際に、偽造の証明書を提出したため、獣医師法違反と偽造有印私文書行使の罪に問われたのです。

これも動物の体を直接保護するというより、獣医師でないものがマイクロチップを装着してはならないと定め、人間の行為を規制しているわけです。

このように人間の行為を規制することによって、動物に権利を直接認めていなくても、ある程度動物の権利が保護される結果になります。