奈良県の高松塚古墳に、国宝に指定されている壁画があります。
「飛鳥美人」と言われる壁画です。
教科書などでも取り上げられることがあります。
この女子群像が描かれている壁画に使われている顔料が特定されました。
科学的分析により特定されたものです。
X線回析装置で分析しました。
女性が身に着けている裳(も)というスカートのような部分は赤色で辰砂(しんしゃ)という顔料が使われていました。
別名「賢者の石」とも呼ばれます。
薬などにも使われてきましたが、水銀を含むため取り扱いには注意が必要です。
緑色の衣部分は孔雀石です。
銅のサビである緑青とほぼ同じ成分です。
裳部分の青色は藍銅鉱でした。
銅の鉱床の上にできることが多いです。
先に説明した孔雀石と成分が似ていて、採れる場所も同じような場所から採取されます。
いずれも壁画などに使われる顔料として用いられる鉱物です。
海外の壁画でも用いられています。
壁画自体についても海外の技法や技術の影響を受けているのではないかと思います。
渡来人などによって海外の技法が伝えられたのかもしれません。
日本というと江戸時代に鎖国状態にあったため、外国との交流が少なく、古い時代には交通が発達していなかったので、人の行き来があまりなかったように感じますが、朝鮮半島には古くから進出していたため、ある程度人的な交流はあったようです。
国内の状況がよくわかっていない卑弥呼の時代に、既に遣いが中国に渡っていたようですので、行き来するのは大変だったと思いますが、海外の文化は伝わっていたのではないかと思います。
高松塚古墳は7世紀末から8世紀にかけてのものと言われていますので、海外の文化はかなり伝わっていたのではないかと思います。