性別を決める仕組みが、さらに詳しくわかるかもしれません。

人間の場合、性染色体がXXなら女、XYなら男になるということをご存じの方も多いと思います。

IPS細胞のように男でも女でも、元になるのは同じような細胞ですが、染色体の情報により、精巣などオス特有の器官に変化していくわけです。

ところが、アマミトゲネズミは、オスでもY染色体がないXO型なのです。

アマミトゲネズミは、絶滅危惧種に指定されている天然記念物です。

動物として珍しいだけでなく、オスとメスで同じ型の性染色体を持つという点でも珍しいのです。

どのくらい珍しいかというと、アマミトゲネズミの棲息する奄美大島(鹿児島県)に近い沖縄県にはオキナワトゲネズミがいます。

オキナワトゲネズミのオスはXY型の性染色体を持つのです。

そのアマミトゲネズミについて、オスでもメスでも変わらないXO型なのに、なぜオスが生まれるのかを、北海道大学の研究チームが明らかにしました。

南の島の動物を北海道のチームが研究しているという点でも面白いです。

その北海道大学の研究チームは、まずオスのDNA配列を調べてみました。

そうすると、アマミトゲネズミのオスでは二重に配列が繰り返されている部分があったのです。

これはDNAが二重らせんと言われているのとは別の話です。

この二重に配列されている部分が、オス化を進める鍵になっていることがわかったのです。

ただし、実際にオス化するには、スイッチを押す役割が必要で、二重の配列に対して、スイッチを押す役割をする因子が働くことによってオス化が進むようです。

現在、その因子を特定するための研究が進められています。