危険性がある程度わかっていても、社会的に必要とされて危険な職業に従事することがあります。
炭鉱労働もその1つです。
炭鉱で働いていたためにじん肺にかかった人には、国から賠償金が支払われることがあります。
賠償時に、死亡している人と療養中の人では賠償額に差があるのが通常です。
賠償を受けた後に死亡した人の遺族が、生存中に受けた賠償額と死亡した場合の賠償額の差額を求めて訴えていた裁判の判決が札幌地方裁判所でありました。
裁判所は、国に110万円の支払いを命じる判決を出ました。
つまり差額の請求が認められたことになります。
もともと損害賠償請求では、一旦結論が出ていても、請求後の後遺障害などで、賠償時と異なる事情が生じた場合は、追加的に賠償を認める場合があります。
大規模な災害や疾病の場合、被害者救済のために特別法として救済法が制定され、差額などが認められていることがありますが、今回の場合そのような法令はありませんでした。
今回の場合、賠償時に一旦和解が成立していますが、和解条項の中に、新たに損害賠償を請求しないという定めがなかったということも、原告側が勝訴した理由の1つになったようです。
諦めないことが大切だということ教えてくれる事案と言えるのではないでしょうか。
かつて炭鉱で働いていた人は多数いるので、同じような状況にある人もいると思います。
今回のケースがリーディングケースとなって、生存中と死亡時の差額が認められるケースが増えていくのではないかと思います。