ジャニーズ事務所の(故)ジャニー喜多川氏による性加害の問題で野党が公訴時効の撤廃を検討しています。
刑事事件での時効には2種類あります。
刑の時効と公訴時効です。
刑の時効は、裁判で刑の言い渡しを受けた後に逃亡し、一定期間刑の執行を受けなかった場合に成立するものです。
刑の言い渡しを受けた後に逃亡し続けるということは、通常考えられません。
そのため、今回検討されているのは公訴時効の方です。
公訴時効は、一定期間経過により公訴提起できなくなるという制度です。
捜査がうまく進まず、犯人が特定できない場合や特定できても国内で逃亡し続けた場合などが考えられます。
時効が完成したことにより、犯人が捕まえられなくなったと報道されるのは公訴時効の方です。
現在でも、容疑者が海外に逃亡している場合は、時効の進行が停止します。
つまり、時効が完成しないのです。
ところが、今回のジャニーズでの性加害のように、被害者が未成年でも時効は進行してしまうため、成人と同じ期間で時効が完成してしまうのです。
未成年者が被害者の場合、今回のように声を上げにくい場合もあるでしょうし、上げてもきちんと取り合ってもらえない可能性もあります。
現在、一部の犯罪の時効期間が見直されるなど改正により、より完成しにくくなっていると言えますが、更に改正が必要な部分ではなかと思います。
証拠の散逸や事実状態を尊重することにより法秩序を安定させることが、時効制度の理由とされます。
下手をすると、性的な加害行為でなくても、時効が完成するまで、被害を訴えにくくするという形での加害行為が続く可能性もあります。
そのような加害行為だと認定できれば、犯罪行為の一部と評価される可能性もありますが、富も権力もある相手である場合は、そのような証拠の収集が困難な場合も考えられます。
被害者の救済が必要な場面だと思います。
与野党連携して、逃げ得を許さないような制度にしていかなければなりません。