順天堂大学の医学部の入学試験で、女子学生が、女子であることを理由に、男子学生と異なる基準で不合格の判定をされていたことは記憶に新しいところです。

これとは別に、順天堂大学で、かつて受験生だった男性が、年齢や浪人年数を理由に不合格とされたことを不当だとして損害賠償を求めた裁判の判決が東京地方裁判所でありました。

結論は、違法だとして順天堂大学に181万円の支払いを認める判決が出されました。

点数が取れていれば、不合格にするのは違法なように感じますが、事はそう単純ではありません。

特に順天堂大学は、私立大学であるため、例えば若い医師を確保したいといった動機や、浪人年数の少ない優秀な人を医師にしたいという目的があったとするなら、必ずしも不当とは言えず、私的団体の自由だとも考えられるのです。

おそらく、今回このような判決が出た決め手は、そのような事情を一切公表せず、入学試験の募集要項にも書いていなかったという事情が重視されたのではないかと思います。

勿論、チャンスは平等になければならないという価値判断もあると思います。

知らなければ受験してしまう。

にもかかわらず、公表されていない事情を元に、点数以外のことで不合格にされてしまうというのは不合理だという判断です。

これは同時に、他の受験生とは異なる不平等な取り扱いがあったという判断にも繋がりやすくなります。

更に、順天堂大学側が、記者会見で男性を不合格にした理由を、浪人年数以外にも「特殊な事情」があったと表現したことが侮辱行為にあたることも認定しました。

以上の裁判は、裁判長が女性だから復讐のために出した判決ではないと思います。