最近、反物質について、「自分の分身も飛べません」という記事の中で書きました。
いきなりオカルトの世界に興味を持ったのかと思われるのも不本意なので、もう少し補足したいと思います。
元々物質と反物質は生まれる時は必ずペアで発生しています。
これを対生成と言います。
物質と反物質があってこの2つが出会うと消滅することは以前記事の中で書きました。
こちらは対消滅です。
消滅するなら、この世には物が存在しなくなってしまいます。
しかし、私たちも含め、実際に物が存在しています。
これは、物質と反物質が対発生した時の状態で存在していないからではないかと考えて超伝導現象を観察する中で「自発的対称性の破れ」の着想を得て、提唱したのが、ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎先生です。
反物質は、クオークやニュートリノなどの物質粒子について存在しています。
クオークは現在6種類が確認されていますが、当時、全て見つかっていたわけではありませんでした。
当初3種類しか確認されていなかったので、クオークに反物質が存在するかどうかもわかっていませんでした。
小さいうえに、クオークには強い力が働いているので、それだけを観測することは難しいのです。
反物質があるとすると、クオークはすべてペアになるので、6つあるだろうと予測したのが、小林・益川理論です。
複数あっても、物質側のクオークでないと区別できないと、反物質であるかどうかわかりません。
後に、第3世代のペアの存在によって、同じ粒子でないことが確認されました。
これによって、クオークが6種類あり、反物質が存在することが明らかになったのです。
南部先生の「自発的対称性の破れ」も実証的に裏付けられたことになりました。
クオーク全てが実験で確認できたことにより、やっと一連の理論が成り立つことがわかったので、それぞれ、理論提唱から時間は経っていましたが、南部陽一郎先生、小林誠先生、益川敏英先生のノーベル物理学賞同時受賞となりました。
物質粒子としてクオークと異なり弱い力が働いているのがレプトンです。
レプトンに分類されるニュートリノをスーパーカミオカンデで観測し、質量があることを明らかにしたのが、ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊先生です。
南部先生の「自発的対称性の破れ」は超伝導の観察から生まれ、質量があるということや、クオークの強い力、レプトンの弱い力とも関連しています。
南部先生が、同じノーベル物理学賞を受賞した益川先生から仰ぎ見る存在と言われたのも決して大げさではありません。
質量と重力は異なるものですが、現在質量は直接量れないので、物体に働く重力で重さを量っているのが、我々が使っている計りです。
最近このブログで書いた記事は、反重力は存在せず、反物質が重力で下に落ちることが実験で確認できたというものです。
「とんでも科学」ではなく、現代物理学の話です。