以前このブログの「真摯に受け止めよ」という記事の中で書いた事件について、高等裁判所での判決が名古屋高等裁判所でありました。
この記事のタイトル「真摯に受け止めよ」は、もちろん地方裁判所の判決を真摯に受け止めよという意味ではなく、記事で書いた批判を真摯に受け止めてほしいという意味です。
名古屋高等裁判所の判決は、入会拒否は裁量権を逸脱し違法であるとして、ゴルフクラブに77万円の損害賠償を命じました。
事案は、現在は日本に帰化している男性が、元外国籍であることを理由に、ゴルフクラブへの入会を拒否されたことが法的に許されるかが争われたものです。
第一審の津地方裁判所四日市支部では、ゴルフクラブが私的団体であることから結社の自由があり、ゴルフが生活に必要不可欠なものではないことから、ゴルフクラブに裁量権を認め、違法性はないとしていました。
これに対して、控訴審である名古屋高等裁判所は、ゴルフクラブ側の憲法第21条「結社の自由」に基づく裁量権の範囲は、憲法第14条「法の下の平等」や人種差別撤廃条約の規定との調整のうえで決まってくるとして、団体の性格を検討しています。
そして、ゴルフクラブの会員が1500人に及び、ゴルフは一般的なレジャーの1つになっているとして、このゴルフクラブが、社会性を持った団体であると認定し、裁量権には一定の限界があるとしています。
次に、入会条件が裁量権の範囲内かどうかを入会条件が社会的に許容されるかどうかという基準によって判断しています。
もちろん、元外国籍であるということを理由に入会拒否することは、差別的な取り扱いであるため裁量権を逸脱していると判断したのです。
高等裁判所の裁判官が、このブログの記事を読んでいる訳はないですが、結果的に地裁判決を批判した記事に沿った判決が出てよかったと思います。